仕組み:ページへのスクリプト注入ではなく、カーネル内で適用
フィンガープリント設定は、ページへの JavaScript の注入に依存しません。プロファイルを作成・編集したときに保存されるのは設定データです。プロファイルを開くと、Prism はそれを起動パラメーターに変換し、メンテナーがビルドした Chromium フィンガープリントカーネル(fingerprint-chromium のパッチ、ungoogled-chromium のビルド手順、Prism 独自のパッチに基づく)に渡します。
そのため、メインウィンドウ、iframe、Dedicated / Shared / Service Worker、OffscreenCanvas、AudioWorklet のどこから読み取っても、ページには同じアイデンティティが返されます。メンテナーの監査ツールは、これらの実行コンテキスト間で一貫しているか、同じシードが異なるデータディレクトリでも安定しているかをチェックしています。カーネルのバージョンと出どころについてはフィンガープリントカーネルをご覧ください。
なお、Pro のマルチウィンドウ同期ツールや MCP を使用する場合、Prism はブラウザのデバッグプロトコルを通じて、ページ内で読み取りと操作のためのスクリプトを実行します。これはフィンガープリント設定とは関係ありません。


10 種類のハードウェアテンプレート
ハードウェアテンプレートは、プラットフォーム、OS のバージョン、CPU コア数、画面解像度、GPU をまとめて設定し、「Windows なのに Apple の GPU を報告する」といった不自然な組み合わせを防ぎます。新しいプロファイルでは、この PC の OS に対応した「シードごとに異なる」テンプレートが既定で使われます。
| テンプレート | CPU | 解像度 | GPU |
|---|---|---|---|
| macOS · このデバイスのハードウェア(推奨) | このデバイスの実際のコア数 | 1440×900 | このデバイスの GPU。フォント、Canvas、Audio もこのデバイスのものをそのまま使用。macOS でのみ選択可能 |
| macOS · シードごとに異なる Apple GPU(複数プロファイルに推奨) | 8 コア | 1440×900 | Apple M1–M4 シリーズの 11 種類の GPU からシードで固定的に選択 |
| macOS · Apple M1 · 8GB | 8 コア | 1440×900 | Apple M1 |
| macOS · Apple M3 Pro · 18GB | 12 コア | 1512×982 | Apple M3 Pro |
| macOS · Apple M4 Pro · 24GB | 12 コア | 1512×982 | Apple M4 Pro |
| Windows · このデバイスのハードウェア(推奨) | このデバイスの実際のコア数 | 1920×1080 | このデバイスの GPU。Windows でのみ選択可能 |
| Windows · シードごとに異なる NVIDIA GPU(複数プロファイルに推奨) | 8 コア | 1920×1080 | NVIDIA RTX 30 / 40 シリーズのデスクトップ向けグラフィックスカード(18 モデル、27 種類のデバイス ID)からシードで固定的に選択 |
| Windows 10 · RTX 3060 · 16GB | 8 コア | 1920×1080 | NVIDIA GeForce RTX 3060 |
| Windows 11 · RTX 4060 · 16GB | 12 コア | 1920×1080 | NVIDIA GeForce RTX 4060 |
| Windows 11 · RTX 4070 · 32GB | 16 コア | 2560×1440 | NVIDIA GeForce RTX 4070 |
テンプレート名に含まれるメモリ容量は、組み合わせを区別するためのものです。ページから読み取れる navigator.deviceMemory は Chrome では最大 8 と報告されるため、Prism も 8 として報告します。「このデバイスのハードウェア」以外のテンプレートは別の OS でも使用できます。たとえば Mac 上で Windows のアイデンティティを作成でき、その場合はターゲット OS の一般的なフォントがこのデバイスのフォントに対応付けられます。

フィンガープリントシード:プロファイルのアイデンティティを決めるもの
各プロファイルには 0 から 4294967295 までのフィンガープリントシードがあり、作成時にランダムに生成されます。シードとテンプレートの組み合わせによって、GPU のモデル、Canvas、WebGL、Audio、ClientRects などの細部が決まります。同じシードなら起動するたびに同じ結果になり、シードが異なれば互いに区別されます。
- プロファイルを複製するか「再生成」をクリックすると、新しいシード、つまり新しいアイデンティティになります。
- 長期間使っているアカウントのプロファイルでは、シードやテンプレートを安易に変更しないでください。ソフトウェアをアップグレードしても、既存のプロファイルのテンプレートが自動で変わることはありません。
- 一括作成する場合は、CSV の
fingerprint_seed列でシードを指定できます。空欄にすると、それぞれランダムに生成されます。詳しくはプロファイルの一括管理をご覧ください。
項目ごとの説明:各項目をどう扱うか
| 項目 | Prism での扱い |
|---|---|
| User-Agent と Client Hints(UA-CH) | ブランドは Chrome または Edge から選択できます。ブランドバージョンを空欄にすると、実際のカーネルの 4 つの部分からなるバージョン番号が自動で使われ、UA、UA-CH の高エントロピー項目、HTTP Client Hints が同じ値に基づきます。手入力したメジャーバージョンがカーネルと一致しない場合は起動しません。UA 文字列全体のカスタマイズには対応していません。 |
| OS のプラットフォームとバージョン | テンプレートによって決まります(Windows または macOS)。macOS の「このデバイスのハードウェア」テンプレートは、起動時にホストの macOS バージョンを読み取ります。Windows のテンプレート(名前に「Windows 11」を含むものも含む)は、Client Hints で OS バージョンを一律 10.0.0 と報告します。 |
| CPU コア数 | テンプレートの値(8 / 12 / 16)、またはこのデバイスの実際の論理コア数。 |
| 画面解像度 | テンプレートの値。screen と CSS の device-width は一致し、利用可能な高さからは Windows のタスクバーまたは macOS のメニューバーの分が差し引かれます。 |
| 言語と Accept-Language | 既定ではプロキシの出口に合わせ、国に応じて自動で設定されます(24 の国 / 地域に対応)。手動で固定することもできます。ネットワークアイデンティティを参照してください。 |
| タイムゾーン(Date / Intl)と位置情報 | プロキシの出口に合わせた IANA タイムゾーンと都市レベルの座標(精度約 25 km)。手動モードでは任意の有効な IANA タイムゾーンを入力できます。 |
| Canvas | シードに基づいて決まったわずかな描画の違い(文字のサブピクセル単位のずれなど)を生じさせます。毎回変わるランダムノイズは加えないため、同じプロファイルでは安定し、プロファイルごとに異なります。 |
| WebGL と GPU | WEBGL_debug_renderer_info のベンダーとレンダラーは、テンプレートの GPU に従って出力されます(例:ANGLE NVIDIA GeForce RTX 4060、Apple M3 Pro)。ピクセルの読み取り結果はシードに応じてわずかに変化し、WebGPU アダプターのベンダーとアーキテクチャもあわせて調整されます。 |
| Audio | OfflineAudioContext の出力を、全体の統計的特徴を保ったまま、シードに応じてわずかに置き換えます。 |
| ClientRects / DOMRect | 要素と Range の矩形に、シードに基づくごくわずかな決定的スケーリングを適用します。 |
| フォント | ホストと同じ OS の場合は、このデバイスのフォントをそのまま使います。別の OS を模倣する場合はターゲット OS のフォントを対応付け、ターゲット OS 以外のフォントの大部分を隠します。 |
| WebRTC | 既定は「リーク防止」で、プロキシを経由しない UDP を禁止します。プロキシとネットワークアイデンティティを参照してください。 |
| 自動化の痕跡 | 自動化スイッチによって navigator.webdriver が true になることはなく、HeadlessChrome の識別子も除去されます。 |
| ウィンドウの見分け方 | ウィンドウタイトルには「[番号] 名前」が表示されます。macOS の Dock アイコンにはプロファイル番号が付き、Windows のタスクバーではプロファイルごとにグループ化されて番号が表示されます。 |
「このデバイスのハードウェア」「シードごとに異なる」「固定テンプレート」のどれを選ぶ?
| ニーズ | おすすめ |
|---|---|
| プロファイルは 1、2 個だけで、最も自然な描画シグナルを求める | このデバイスのハードウェア:このデバイスの GPU、フォント、Canvas、Audio をそのまま使います。このテンプレートのプロファイルが複数ある場合、これらの項目は同じになる点に注意してください。 |
| 複数のプロファイルを同時に使い、互いに区別したい | 「シードごとに異なる」テンプレート(既定):各プロファイルの GPU モデルと描画の細部がシードで固定されます。 |
| 特定のデバイス構成(特定の Mac やグラフィックスカードなど)が必要 | 固定テンプレート:Apple M1 / M3 Pro / M4 Pro、または RTX 3060 / 4060 / 4070。 |
| すでに長期間使っているアカウントのプロファイル | 既存のテンプレートとシードは変えずに維持します。調整が必要な場合は、まず新しいプロファイルに複製してテストしてください。 |
フィンガープリントの検証方法
CreepJS、Pixelscan、BrowserLeaks などのページで確認するときは、少なくとも 2 つのプロファイルを開いて比較し、再起動後にもう一度テストして安定性を確かめます。赤や緑の色だけを見るのではなく、OS、Prism とカーネルのバージョン、テスト日時、失敗した具体的な項目を記録してください。検査結果は、プロキシの評判、実際のハードウェア、サイトのルールの変更にも左右されます。詳しい方法はブラウザフィンガープリントとは何か、どう検査するかをご覧ください。
よくある質問
- フィンガープリント検査で赤い表示が出たら、プロファイルが機能していないということですか?
- そうとは限りません。まず具体的な項目を確認してください。プロキシが検出されたのか、タイムゾーンと IP が一致しないのか、フォントの違いなのか、それとも検査サイトが新しいバージョン向けのルールを古いカーネルに当てはめているのか。プロキシの問題なら回線を変える必要があり、タイムゾーンの問題ならプロキシ設定で「プロキシのタイムゾーンを適用」を使えます。
- UA、メモリ、解像度を完全にカスタマイズできますか?
- UA 文字列全体を自由に入力することはできず、ブランドバージョンはカーネルに自動で合わせられます。CPU、解像度、GPU はテンプレートによってまとめて決まるため、互いに矛盾する組み合わせにはなりません。以前のバージョンで作成したプロファイルでは、既存のアイデンティティを変えないよう「旧バージョンのカスタム設定」が保持されます。
- スマートフォンや Linux のフィンガープリントに対応していますか?
- 対応していません。Prism が模倣するのは、Windows と macOS のデスクトップのアイデンティティだけです。
- Community 版と Pro で偽装の機能は同じですか?
- フィンガープリント設定は両エディションで同じです。Community 版は同梱の Chromium 144 カーネルを使用し、Pro ではさらに Chromium 150 / 153 カーネルも使えます。フィンガープリントカーネルをご覧ください。